前西之表市議会議員 和田 香穂里
自己紹介
東京生まれの埼玉育ち。2011年に、連れ合いの故郷種子島にU&Iターン。介護施設で働いていたが、2017年の市議選に無謀にも立候補して(経緯に触れる紙幅は無いが馬毛島が大きな要因)奇跡の当選を果たし、4年間馬毛島問題(以外にも色々)を(自分で言うのも何だが)鋭く追及するも、2021年1月の選挙は14票差の次点で落選。以前勤めていた社会福祉法人に復職し、現在は一市民として、引き続き馬毛島問題(以外にも色々)に取り組んでいる。
自衛隊馬毛島基地に反対する理由
基地は戦争と直結している。基地から出撃していく先の「敵地」では言うまでもなく、基地のある場所や、さらには基地の無い場所でも、人が平和に生きる権利や生命そのものを危険に晒す。青臭い理想論と言われても、私は世界中から基地も武器も無くしたい。戦争は自然災害ではない。人の手で止められるはず。まず目の前の馬毛島基地建設阻止。反戦・平和と馬毛島基地反対は私にとっては不可分なのだ。
- 馬毛島は、絶海の孤島でも、単なる無人島でもない
地理的位置
琉球弧(「南西諸島」という大日本帝国時代からの行政用語は原則使わない)の北端。薩南諸島に属する種子島の西約10km。鹿児島県西之表市が行政区。ちなみに種子島には西之表市・中種子町・南種子町の1市2町がある。
馬毛島と人の暮らし
1950年代に入植が始まり、一時期は500名を超える人々が暮らしていた。小・中学校があり、種子島との間に定期船も通い、飛魚漁の基地としても賑わった。農業には不向きな環境だが、厳しく貧しい中にも喜びのある暮らしがあったと、元住民は語る。しかしレジャー施設や石油備蓄基地計画などを理由に土地の買収が進み、生活困窮から土地を売って島を離れる人が相次ぎ、1980年に無人島になった。
トコブシや伊勢海老が獲れ、キビナゴやトビウオが育つ豊かな漁場でもある馬毛島を、種子島の漁師は「宝の島」「困ったときは馬毛島へ行け」と言い慣わしてきた。
人の営みの遺跡
古墳時代の石器、中世の埋葬人骨、古石塔、太平洋戦争時のトーチカ、飛魚漁のための小屋の跡など(いずれも、地権者の嫌がらせによって調査は十分に行われていない)、歴史的文化的史跡が多く存在している。また太平洋戦争時に、米軍の攻撃を受けて馬毛島の西方に沈没した船から多くの遺体が流れ着き、当時の住民が埋葬したとされるが、これも調査が進んでいない。遺骨交じりの土砂の行方はどうなるのか?
自然環境
真水が湧き、ドジョウやメダカがいる水辺は、渡り鳥の休憩地ともなっている。天然記念物のオカヤドカリや固有亜種とも言われるマゲシカなど、希少な種の貴重な生息地であり、特異な自然環境・生態系を持ち、ウミガメの産卵地にもなっている。違法な伐根や許可の無い場所を含む造成で、陸上はハゲシマ、海も土砂の流出で荒れてしまったが、お手盛りの環境アセスでさえ、陸域ではマゲシカを含む哺乳類4種、鳥類83種をはじめ700種類以上、海域ではウミガメ2種を含む2700以上の生き物(陸海とも植物を除く)が確認されている。
馬毛島の姿
種子島から望む夕日と馬毛島の姿は、島民の心のふるさと、原風景。晴れた日は特に間近に見える馬毛島は、絶海の孤島でも前人未到の無人島でもなく、大切な故郷の一部なのだ。かつて馬毛島に住んでいて、今も馬毛島の見える西海岸に住んでいる人は、馬毛島の岳之腰(馬毛島で一番高い71mほどの丘)が削られて平らになるという防衛省の計画を知って、とてもショックを受けていると話す。基地計画に係る環境影響評価いわゆる環境アセスメントでは、岳之腰が削られても種子島からの景観の変化は0.5%に満たないとされているが、肉眼で見る馬毛島の姿は数字で表せるような無機的なものではない。
- 馬毛島に計画されている自衛隊馬毛島基地とは?
・2011年の日米安全保障協議委員会(ツープラスツー)において、「自衛隊施設を整備し米軍FCLPの恒久的な施設として使用される」候補地に。
・鑑定評価額45億円を160億円で防衛省が買収。米軍再編関連予算(辺野古工事の余り)からの流用=国会審議無し。違法開発造成の費用まで上乗せ。
・地権者だった企業による違法開発は不問。買収によって国有地になれば、法規制からは外れると強引な見解。
・軍事施設防衛施設の無い「手付かず」の一つの島を丸ごと基地にするという前代未聞の計画(CNNが「米軍の不沈空母」となる可能性と報道)。
・21.12本体工事予算3183億円閣議決定。22.1ツープラスツーで整備地決定、本体工事入札公告。外周道路や港の浚渫工事は既に始まっている。
・そして今年22.9.30の議会で、①馬毛島の小中学校跡地売却、②馬毛島の市道廃止、③種子島の市有地を自衛隊・隊舎用地として売却の3議案が市長から提案、可決された。
・自衛隊馬毛島基地の目的
- 訓練拠点(陸海空12種類、米FCLP20日、自衛隊訓練130日、飛行回数28,900回、早朝から深夜まで)
- 集積・展開拠点=兵站拠点(武器、兵器、弾薬、物資、人員を集めて戦場へ。戦争が起きれば標的に)
- 米軍空母艦載機離着陸訓練(FCLP)(深夜に及ぶ凄まじい爆音は厚木、岩国での度重なる訴訟で認められながら、飛行差し止めはできない)
- 自衛隊馬毛島基地は「琉球弧の要塞化(南西シフト)」を支える拠点
・薩南諸島から琉球弧の島々が標的・戦場になることを前提とした、米軍+自衛隊の戦略=いわゆる「南西シフト」において、軍備、物資、隊員等の集積展開拠点であり、まさに戦闘戦争を前提とした施設。米軍の後方支援施設にもなると考えられる。
・島嶼防衛は、島を守るのではなく、島を前線にして守るということ。では何を守るのか?それは領土・領海・国の主権・天皇etcなのか?米国の利権・米軍の戦力なのか?
・いずれにせよ島々の住民の命を守るために自衛隊が配備されるわけではない。地元住民の中には「自衛隊が配備されれば安心」という声もあるが、それは大いなる誤解であり、戦闘(戦争)が始まればむしろ標的として島民の命は危機にさらされる。その場合の住民避難は事実上不可能。島々の住民を避難させるための船や飛行機は、十分な数も安全な航路も確保できない。シミュレーションするまでもなく明白だ。
・「日本列島は米中の最前線。台湾をめぐる有事に巻き込まれることは避けられない。申し訳ないが、自衛隊に住民を避難させる余力はないだろう。自治体にやってもらうしかない」(自衛隊幹部の言葉)。
・種子島ではすでに「島嶼奪還」を想定した訓練が繰り返し行われ、「最適」と米軍幹部も絶賛。さらに関連施設が種子島に作られて馬毛島基地と一体化の運用がされれば、間違いなく種子島も標的になる。
・与那国、石垣、宮古、沖縄、奄美、馬毛島・種子島の島々から、鹿屋、新田原、佐賀、佐世保、築城、岩国までの自衛隊配備と米軍利用。日米安保は軍事同盟として強化され、作戦、基地運用の一体化が進む。
- 基地建設や訓練の様々な問題と、住民の不安・疑問にまともに答えない防衛省
反対派ばかりでなく、種子島の人々が不安や疑問をいだいている問題点として、
・アメとムチによる防衛省の計画強行が、民主主義や地方自治の破壊と、平和に生きる権利を奪うものであること。10年間だけの米軍再編交付金は基地反対なら交付されない。その他の交付金も「凍結」「見直し」など兵糧攻めに遭う(岩国市など前例がある)。
・騒音(爆音)の心身への影響や漁業・酪農・畜産業などへの影響。厚木で、岩国で、新田原で、繰り返し訴訟が起こされ「耐え難い騒音」と認められても飛行差し止めは実現していない。
・馬毛島の自然環境、景観、周辺海域の環境破壊はもちろん、関連施設の置かれる種子島の環境にも大きな影響が予測される。
・.PFAS・PFOS等の化学物質の流出などによる水質汚染、夜間照明による光害、排気ガスによる大気汚染等々の影響は測り知れない。
・移住・観光への影響。基地のあるまちにはいたくない、来たくないという移住者や旅行者は少なくない。
・軍港の建設により馬毛島の豊かな漁場が永久に失われ、漁師が生業を失う。
・事故や事件は沖縄だけではない、米軍だけでもない、全国各地でも様々な事件や事故(暴行傷害、強姦、交通事故、落下事故、墜落、沈没などなど)が、馬毛島、種子島で起きる可能性と不安。米軍関連事案については日米地位協定の下で「申し入れる」しかできない防衛省、米軍との公式なパイプを持たない地元自治体。住民の安心安全は誰が担保するのか。
・米軍機や自衛隊機の飛来や飛行経路、飛行高度の問題。基地ができるととにかく色々飛んでくる(オスプレイ、CH-47、民間空港利用など)。事実、奄美では駐屯地開設以降の米軍機の低空飛行が激増している。
・交付金漬けによる地域の力の減退
賛成派は、人口増加、雇用創出、消費拡大などに期待を寄せ、「交付金をもらって地域の活性化ができたら、そこから交付金に頼らない街づくりができる」と言うが、基地や交付金ではまちは豊かにならないことは、基地のあるまちの実態を見れば明らか。逆にますます基地経済に依存していく。基地のある町が基地関連財源を手放した例などない。
基地に頼って自らの力を手放す人、基地を嫌って島外に出ていく人など、マンパワーも減退する。そして失われる島の宝は、都市部には無いお金に替えられないもの。
そもそも基地関連の交付金や補助事業は地域の活性化策としてあるのではない。
・反対、賛成で島民が分断される。すでに漁師の間では、賛成派は関連の仕事(海上タクシーや監視船)で潤い(1日7万とも。ただ辺野古の例では段々額が減らされるらしい)、反対派には関連の仕事は回らず(基地に反対しないという念書があるという)、仲間だった船に監視される。与那国では、基地ができてからも反対の人は反対のまま。「反対した家の子は給食を食べるな」等の心無い言葉も聞くという。
・医療費負担の軽減や子育て支援は厚労省、教育関連の充実は文科省、道路や橋の整備は国交省、農林水産振興は農水省など、所管の省庁予算として適正に配分されるべき。防衛予算を増強し、それらに充てるのはいびつな間違った税金の使い方。コロナ禍、自然災害など、困窮する人々を置き去りにして、基地のあるまちだけが潤うのか?今だけ金だけ自分だけで本当に幸せになれるのか?
これらの問題点に関して、防衛省は住民の疑問や不安に、まともに答えたことは無い。議会での説明、住民説明会、アセス説明会等々の場においては「(公式発表ギリギリまで)馬毛島はあくまで候補地」「アセスの結果を見てから判断する」「今はお答えを差し控える」「現時点では考えていない」等々の言葉を繰り返して、住民を煙に巻いておきながら、「住民の理解と協力が必要」「丁寧に説明をしていく」とうそぶく。
- 市長
・2017年「馬毛島軍事施設絶対反対」を公約に6人→4人の再選挙を制して当選。しかし就任直後から「情報を得る必要がある」「協議会の長としてはニュートラル」と賛否を明言せず。
・2020年8月に「基地建設は失うものが大きい。計画には同意できない」と表明し、反対派の支持を受け、反対派団体と政策協定を結んで、2021年1月の市長選に臨む。賛成派の商工会長の一騎打ちを144票差で制し2期目に。
・今年2月「新しい局面に入った」と防衛省に「協議の場の設定」「再編交付金と自衛隊官舎に特段の配慮」を求め、防衛省との「協議」を重ねた。
・9月議会冒頭に「同意不同意を述べる状況ではない。行政手続きは進める」と言うや否や、防衛省の求めに応じて「馬毛島学校跡地売却」「馬毛島市道廃止」「自衛隊官舎用地売却」の議案を追加提出。「公約違反だ!」「裏切者!」「辞任しろ!」の声も馬耳東風。「住民投票は考えていない」「任期は全うする」と、反対派市民の声も一蹴。
明らかに基地建設に協力する姿勢に転じたにも関わらず「(反対の)気持ちは変わっていない」「(反対の)皆さんには最後まであきらめないで欲しい」などの発言もあり、この市長の支離滅裂ぶりには拍車がかかっている。
・一部の反対派住民が、リコール運動を開始する。筆者も呼びかけ人となっている。
- 議会
・議会は改選前、反対:賛成=11:5だったが、改選後7:7に。議長を反対派から全会一致で選出するという愚挙により、議決権では反対派が1票マイナス。結果、西之表市初の「賛成決議」となった。それまで議会が「反対」であるということは、市長にとって大きな後ろ盾だったに違いない。しかしその後ろ盾を失った市長は、相当苦しい立場に追い込まれた。そして今回9月議会で3議案が可決され、最後の「砦」を失った責任は重大。反対派7議員による反対派市民への説明も無い。
- 県(知事・議会)
・知事は長らく「地元の動向を注視する」と地元の様子見という態度で、賛否は明らかにしてこなかったが、地元西之表市長も市議会もともに基地建設に前向きであれば、反対する理由は無くなる。10月17日にアセスの知事意見書が出されたが、まだ今のところ賛否には触れずに、騒音の試算や深夜訓練の回避を要望している。
・そもそも超保守王国鹿児島において、基地や原発などの「国策」に反対する勢力は少数派。かつて「反対」を決議したこともある県議会が、今後馬毛島をどのように取り上げるのかは不明だが「反対」決議はもう二度と無いだろう。
- 住民
・西之表市では2017年の選挙時に反対が約7割だったが、八板市長1期目4年の間にほぼ半々になっている。しかし「国が作るというなら反対してもできてしまうだろう」という諦め派、「反対しても無駄なら交付金をもらったほうがいい」という便乗派が大多数で、積極的受入派はまだ少数と思われる。
・昨年12月に示された、種子島への関連施設配置案では、誘致派の中・南との明らかな差に市民には「迷惑ばかり押し付けられて恩恵は少ない」という動揺が広がった。反対住民から「なぜ水面下で交渉してこなかったか」との声も市の担当課に届いたという。実は昔からライバル意識の強い1市2町であり、他市町よりも余計にメリットを得たいという思いが強いようだ。
・賛成派による講演会、シンポジウムなど、住民に向けた動き。「交付金で島の衰退を止めて、島の暮らしを豊かに」という幻想を振りまき、「騒音は確かにあると思うが、デモフライトでもそれほどではなかった」と矮小化。
・自衛隊関係者が多いという地元の事情や宣撫工作。
・中種子町、南種子町は、官民一体で誘致運動。2011年当初は反対だったが、2014年頃から自衛隊演習を受け入れ、旧空港跡地(中種子)や海浜公園(南種子)などの演習地以外の一般の場所で度重なる演習。2018年10月には日米共同訓練も。
迷彩服姿で買い物する隊員や、頻繁に行き交う自衛隊車両に、違和感や威圧感を感じるが、徐々に慣らされているようだ。
- 反対運動のこれまで。
・2011年当初の盛り上がりから一時期衰退したが、2019年11月、防衛省が馬毛島を160億円で買収「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」が再結成された。市民団体連絡会を中心に署名、学習会、講演会、集会、デモ、スタンディングなどを行ってきたが、当初の方針が「米軍FCLP反対で、保守系の市民も巻き込んで一つにまとまる」だったため、「自衛隊」には向き合って来なかったという側面がある。しかし「南西シフト」による他の島々への自衛隊配備やミサイル配備が進むのを見て、変わりつつあるかもしれない。八板市長2期目当選にも、草の根の運動で票を固めた。
・「基地建設絶対反対」の住民も、市長の姿勢に対する思いはそれぞれで、「裏切られた、信用できない」「苦しい立場は理解できる。支えていこう」「どうすればいいのかわからない」など、様々な意見がある。
・市長の姿勢が変わっても反対の立場は変わらないと、チラシやリーフレットの戸別配布、講演会やシンポジウムの開催、市、県、防衛省への抗議や要望、市と防衛省の協議に合わせたスタンディングなどに取り組み、20~120名ほどが参加。
・市民運動の仲間、大学教授や助教授等の研究者、ジャーナリスト、国会議員、その他様々な人が馬毛島に関心を寄せ種子島を訪れている。
・環境アセスメントの取り組み。意見書は住んでいる地域は関係なく提出できるため、全国にも呼び掛け。桜井国俊沖縄大名誉教授他によるアセス学習会と提案。
・島外でも、集会、講演、パンフレット頒布等々で馬毛島の問題を訴えてきた。また個人でSNSでの発信を積極的にしている人もいる。
・9月議会で可決された馬毛島3議案(小学校跡地・隊舎用地売却)可決後、連絡会は市長選挙時の政策協定を破棄し、突き返した。
- 反対運動、今後の課題
運動のあり方
・他の地域との連携連帯の薄さ、全国に広く知らせる発信力の不足、地元で揺れている住民へのアピールの不足(特に若い世代への訴えかけ)などについて、具体的にどんな方法が考えられるのか。マンネリ化、スケジュール闘争化していないか?
・反戦・平和の市民運動として発展できず、「迷惑施設に反対する住民運動」の枠に収まってきた感がある。
・今後「自衛隊」をどのように扱うのか。
・今一度反対の機運を盛り上げることができるのか。
・市長を信じて支えてきた市民は、これからどう動くのか。
・分裂分断ではなく、多様性を認めた運動を展開できるのか。
次回の市長選挙に向けた取り組み
・辞任要求やリコールが具体化してきたが、仮に任期を満了してもおそらく八板市長の続投は難しい(人気が無い)。新たな反対派市長候補を立てて準備する必要もあるし、容認や賛成に傾いている市民をもう一度引き寄せる選挙戦をどのように作るのか。
市議選では反対派の巻き返しが必要
・賛成派の総得票数が反対派を上回り、上位当選している状況をどのように覆していくか。「親戚・知人・同級生・同じ地区」だから投票するという島の選挙のあり方では馬毛島は争点にならない。今後は「賛成派についた方が得」というムードも強くなってくるだろう。ますます不利な反対派である。
県議選
・来年4月に任期満了となる鹿児島県議選に、馬毛島基地に歯止めをかけようとする人を地元から出そうという声も聞こえてきたが、具体的な動きはまだ無い。
- まとめとして訴えたいこと
防衛省はものすごい勢いでことを進めていて、市長はすでに協力姿勢であり、議会もたった1票の賛成多数で非常に厳しい状況。それでもただ単に「反対」ではなく、自衛隊馬毛島基地建設と米軍FCLP移転をなんとしても阻止したい。そのためには全国から世論を作って欲しい。琉球弧で進む自衛隊配備やミサイル配備と一体の大きな一つの問題なのだと。「台湾有事」という戦争が大国同士の思惑の中で作られようとしている今、その最前線が薩南諸島から琉球弧。住民の命をまったく顧みない日米の戦争計画を絶対に許してはならない。
SNSでの発信やネット集会等を通じて、島々の繋がりもできつつあるが、物理的な距離や交通の不便さ、掛かる費用の負担などから、お互いの直接行動に参加することはなかなか難しい。それぞれの島が回り持ちで大きな集会を開き、現地行動に集結するなどの闘いも作っていけたらと考えてはいるのだが。
2014年7月2日に集団的自衛権の行使容認が閣議決定されて以降、戦争法と呼ばれる安保法制、重要土地規制法、経済安保推進法、など、いつか来た道をもう一度辿るような法律が次々に作られている。特定秘密保護法をスパイ防止法に格上げしようという動きも強まっている。安保3文書改訂、9条改憲を止める闘いも必要だ。そして今、平和を勝ち取る闘いの最前線として馬毛島基地建設阻止、島々へのミサイル配備阻止など、一歩も引けない闘いが、南の島々で繰り広げられている事実を知って欲しい、ぜひ呼応して欲しい。