五十風 守(京都在住)
先日の日曜日(30日)、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)に行ってきました。ここは「命輝く未来社会のデザイン」を掲げて2025年4月~10月に開催が予定される「大阪・関西万博」の予定地。万博の惨状が連日報道される中で「一度現地を見て置こう」と野次馬根性で出かけました。
「百聞は一見にしかず」と言いますが、残念ながら現地で見るところがありません。「右手側がカジノ予定地で左手側が万博予定地か、フムフム・・」と2時間ほど歩き回りましたが、万博予定地には大型クレーンが林立し、完成すると会場を囲むことになる円形の木材回廊のほんの一部が立っているだけでした。「こりゃ2年後の開催は無理だわ」と確信しました。
万博のヤバイ状況が知られるようになったのは、「日本館の入札不成立」のニュースが流れたころからだと思います(後に清水建設が随意契約)。そして一番ヤバイのは海外パビリオンの建築申請が今になっても一件も無いということです(韓国が申請前段の計画書を提出)。ここで分ったのは、世界は、この人工島・夢洲で本当に万博が開催できるのか様子見をしている、ということです。開催まで二年を切ってのこの状況。この段階で予定通りの開催は時間的にすでにアウトです。
ところが万博協会側は「なんとか出来る」「2024年からの建設労働者の残業規制を除外しろ」と無理筋を主張。これにたまらず日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長(清水建設会長)が「開催一年延期」を提言。これはゼネコンの総意でしょう。
それでも予定通りの開催にこだわる万博協会は、海外勢にパビリオンの簡素化や建設代行案を示して迫っているようです。さらに驚くのは、な~んにも進んでいない大阪・関西万博なのに、1400万枚の前売チケット(6000円)を経済団体(700万枚)や自治体(700万枚)に押し付け、年内にも販売を開始しようとしていることです。
万博全体の費用も当初予算の1250億円より1.5倍の1850億円に増大し、それがさらに2200億円にまで増えると言われています。これは国、大阪府市、経済界で負担することになっています。壮大な無駄に注がれる血税が時間とともに増えていくのです。
これはホンマにヤバイ状況です。2025年開催が無理なことは誰もが分っていながら、これを収拾するリーダーがいない。この夢洲での万博をカジノとセットで進めて来たのは松井一郎と橋下徹と吉村洋文です。これは正真正銘、日本維新の会の案件なんです。これに安倍と菅が乗っかっていたのです。だからすべての責任は「維新」にあるのです。
ところが松井はグットタイミングで「引退」。自ら泥をかぶるのを巧みに逃げ、岸田に泥をなすりつけようとしています。「喧嘩力」ってそんなもんかい。橋下は万博の惨状が次々と明らかになっているのにダンマリ。吉村は眠れぬ夜を過ごしなが「延期」を言い出す勇気はない。維新代表の馬場は、大阪市の夢洲地価鑑定問題やメール隠蔽疑惑を追求する共産党に対して「なくなればいい」とほざくだけ。そうした他党攻撃によって万博が開催できればいいが、そんなことは不可能。問題はすでに維新のキャパを超えてしまっているのです。
岸田は今のところ見て見ぬ振りをしています。維新に恥をかかせよう、という魂胆はあるでしょう。しかし万博は五輪と違い主催は国。恥はかくのは国も一緒です。だから手を差し伸べたい思いもある。しかし相手は時間。策はなし。
これはもう「延期」以外にはありません。しかし東京五輪が「延期」でさらに汚職が拡大した轍をふむわけにはいきません。「大阪・関西万博は中止せよ!」の世論を高めて行くのが大事だと思います。その中から「ポスト維新」の新しい政治の流動化が始まるかも知れません。
< 参考 >
■デモクラシータイムズ
風雲急!必ずこける!?大阪万博(西谷文和さん)
https://www.youtube.com/watch?v=R5R0CJw5PPk
*まずこちらの動画が入門編として最適です。
■夢洲懇談会ブログ
インパール作戦万博編を強行?延期も場所変更の対策もなく突き進むのか?
2023年07月16日
https://yumeshima.blog.jp/archives/20772786.html
<続>インパール作戦万博編を強行?延期も場所変更の対策もなく突き進むのか?
2023年07月29日
https://yumeshima.blog.jp/archives/2023-07-29.html
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