自公政権が「少数与党」に転落した国会では、本年度予算案の修正と成立をめぐって、「年収103万円の壁』の引き上げや高校無償化が論点になっています。これらの問題を切り口にして税と社会保障に対する人びとの関心が高まってきていますが、国会での議論はつまみ食いの域を出ていません。むしろ、「103万円の壁」引き上げ=減税による手取りの増大のためには公共サービスを削減してもよい、という意見のほうが多数になりつつあります。新自由主義に引きずり込まれる「自己責任」型の生活保障への志向が、「連帯・分かち合い」への志向よりも強くなっています。
私たちは、このまま個々人の手取りを増やす「減税」を叫ぶポピュリズムの台頭を見過ごしてよいのでしょうか。あらためて、人口減少・成長なき時代における税と社会保障の全体像を構想していく必要があります。今回は、税による「共同の財布」=財政の重要な役割を論じ続けてきた神野直彦さんの著書『財政と民主主義』を取り上げて、税と社会保障、民主主義との関係ついて基礎から学び、論じたいと思います。(白川真澄)
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第20回「経済・財政・金融を読む会」
- 日時:3月29日(土)13:30~16:30
- テキスト:神野直彦『財政と民主主義』(2024年、岩波新書,)
- 報告:長澤 淑夫
- オンラインでの報告と討論
- 参加費:無料
オンライン形式で行いますので、参加をご希望の方は下記のボタンよりお申し込みをお願いします。