◆◆『季刊ピープルズ・プラン』第48号(2009年秋号)より転載◆◆
◎米海兵隊グアム移転
――誰のための負担軽減なのか(2)(山口響)[PDF]
※連載第1回はこちら
「海兵隊グアム移転――誰のための負担軽減なのか(1)」(山口響)[PDF]
★正誤表
10ページ(上のPDFファイルの場合)
105ページ(印刷版の場合)
下段2行目
【誤】固定翼機 → 【正】回転翼機
★付記(2009年12月27日)
原稿本文で記したように、米上院は「2010会計年度軍事建設・退役軍人関連歳出法案」でグアム移転関連費を大幅削減していたが、その後、上下院の合同協議で削減分をほぼ復活するという新しい事態があった。修正案は12月10日に下院で可決、13日に上院で可決された。
本文では、グアムの戦略的価値に対する米上院の疑念が予算の大幅カットを招いたとの見方を示した。今回の予算復活は、一見したところ、その仮説を否定するかにみえる。しかし、米議会に疑念を抱かせるような要因は依然として消えておらず、議会がグアムの価値について十分に納得した結果の予算復活とは思われない。私は、米国側の予算があまりに少なすぎると、それに対応する日本からの予算が出されなくなってしまうことを米議会が懸念したためではないか、と推測している。
「パッケージ論」の虜になった日本のメディアは「普天間移設の遅れ」との関連でしかグアムの米軍再編をとらえておらず、「移設が進まないから米議会はグアム予算を削った」とか、「今回は予算を復活してくれたが、このまま移設問題が膠着しつづけると来年の米予算は出されないかもしれない」などいう見方を垂れ流している。しかし、それはあまりに視野の狭い「日本的な」ものの見方であって、米国サイドでは、軍隊も議会も、グアムの戦略的価値を在沖米軍問題とは相対的に別個に検討していることは、再度強調しておきたい。
普天間移設計画が鳩山政権の登場で再考され解決の見通しがないにもかかわらず、今回グアム移転予算を米議会が認めたことは、そのことを端的に示しているといえよう(山口響)。