山谷からの声明

山谷労働者福祉会館活動委員会
山谷争議団/反失業闘争実行委員会
2011年3月21日


3月11日の地震がもたらした壊滅的な悲劇と打撃、そしてこれからおとずれるだろう破局的な事態についてもはや言葉をつらねる必要はありません。被災地にもっとも近い寄せ場である山谷で野宿者/下層労働者の支援運動を当事者たちとともにになってきたわたしたちはこの事態を黙視することができないと考え、共同して新たな闘いに着手していきます。課題3つあります。

1.民衆の立場から被災地への支援体制をつくりだすこと
2.被災地から避難されてきた方々を支援し、ともに闘うこと
3.この地震による諸影響によって生み出されることが必至である新たな難民たちを支援し、ともに闘うこと


1)について。
現在、政府は被災地に大量の自衛隊を投入しています。これに対し、いかに微力であろうとも民衆の立場から現地を支援していく体制を構築していくことがまず優先させなければなりません。わたしたちは当面、週一回、現地に物資と人を送る支援体制をつくりだしていきます。

2)について
すでに都内各所に準備された施設に被災地から脱出してきた人々が生活を開始していますが、それらにおいて民間団体の支援は排除され、またそこでなされている行政の対応は人々が必要としているものとはほど遠いとききます。これに対して人々が必要としている支援がわたしたちの側から開始されなければなりませんし、また中期的な視点から人々の生活を確立していくための試みが着手されなければなりません。

3)について
2008年のリーマンショックは派遣村に象徴される新たな難民たちをうみだし、山谷周辺でも一時、劇的に野宿者を増加させました。しかし今回の事態がそれの比ではないことはあきらかです。すでに解雇や雇い止めは激発しています。また今回の地震の影響は野宿の仲間たちの生活にさまざまな打撃を与えています。


現在、政府は自衛隊10万人以上を動員して現地への救援を行うとともに自らの無策を覆い隠しながら、あらゆる批判を封じ込めようとしています。そしてマスコミはこぞって「日本を救え」の一大キャンペーンを開始しています。これはまさに新たな翼賛体制への動員体制をなしくずしに形成しようとすることに他なりません。しかしこれは3月11日をもって旧来の国家と社会のあり方が崩れ去りつつことをしめしているのではないか、とわたしたちは考えます。


わたしたちはこの数年の排除に抗する闘いや共同炊事などの実践において、その過程そのものが民衆の社会の萌芽をはらむような取り組みを模索してきました。それはいまだ緒についたばかりですが、いまこそ、この姿勢をもとにした新たな社会への構築として今回の事態にむかうことが必要であると考えています。それはかつてあった社会の「復興」、原子力に依拠した社会の「再建」を拒否し、民衆自身による民衆の社会をつくりだすこととならなくてはなりません


わたしたちは圧倒的に無力ですが、多くの人々とともにこの試みに着手していきます。思いをともにする人々、運動体の共同を呼びかけます。