2月29日 〈「平成」代替りを問う〉連続講座 第?期 第6回 象徴天皇制と〈転向〉

投稿日時 2019/12/25 16:16:44 | トピック: 研究会

2020年2月29日(土)17時00分?(開場16時30分)

■発 題 者
伊藤 晃 (現代史研究)
天野恵一 (反天皇制運動連絡会)
松井隆志 (司会)(PP研)
■場所:ピープルズ・プラン研究所会議室(裏面地図参照)​
■参加費:800円
■主催:ピープルズ・プラン研究所

「平成」のアキヒト・ミチコ天皇制の時代が終わり、新天皇ナルヒトの時代がスタートしている。
 二代目象徴天皇は、「即位」のときの「護憲発言」(そうマスコミがネーミングした)から、戦後の民主主義をガードする、新たな天皇として、クローズアップされた。戦後の体勢批判的なリベラリスト(民主主義者)からも好意的な評価をもうみだしたという点が、大日本帝国の神権天皇のイメージをひきづらざるをえなかったヒロヒト天皇とは、決定的に違った。
 この傾向は、「日本会議」をバックにして神権天皇主義イメージをふりまく安倍晋三(自民党)政権の登場と再登場、その後の、その政権の長期化によって格段と強化された。さらに、安倍政権下のアキヒトのヘゲモニーによる「生前退位」というスタイルでの「代替り」セレモニーの実施という、政治プロセスで、それは全面化した。
 マスコミは伝統主義(右翼)安倍VS民主(象徴)天皇アキヒト・ミチコの対立ぶりを、焦点化し続けた。
 安倍政権下の「代替り」過程には、その政権に批判的な戦後デモクラティスト(リベラリスト)あるいは、かつてのコミュニスト)のアキヒト(ミチコ)発言賛美の声がマスコミにあふれかえった。そして、共産党までもが、ゆっくりと、その流れに合流しだした。かつての天皇制は肯定しようもないが、アキヒト・ミチコ象徴天皇の「護憲」(平和主義)発言は、批判すべきではない。こういったムードと論理が、9条明文改憲に突き進んだ安倍政権と対決してきた、多様な運動の中でも支配的になってきもいた。
 これは無自覚的な〈転向〉ではないのか? 戦後史の流れの中で、思想的に死語となってしまっている、この言葉を、あらためて、今の状況の中でこそ、つかみなおしてみる必要があるのではないか。かつてこの言葉は、裏切り者への倫理的断罪の言葉として、もっぱら使用された。この共産党(古典左翼)文化への反省をこめて、その絶対正義のコミュニズムの立場からの断罪の倫理の相対化。その倫理主義こそ転向を必然化した原因の一つではないかという問いをも含めて、国家権力に転んでしまう思想的ネックをこそ冷静に歴史的に対象化しなおそうという努力も、戦後史の中でつみあげられてきた。
 今、〈転向〉を論じようというのは後者の流れの中に存在した積極的モメントにあらためてつらなる作業こそが必要だと思うからである。
 1933年、「転向」はブームであった。もちろんその時代は、治安維持法体制の時代であり神聖「国体」〈天皇制〉タブーの時代であり徹底した暴力的弾圧の時代であった。2020年に向かういま公然たる「治安維持」法による暴力は見えない時代である。そして天皇賛美への転換は、すぐれて自発的かつ無自覚にみえる。
 ナルヒト新天皇の時代へ向かう、今。象徴天皇制への「転向」の動きを、思想的に問い直す作業を開始したい。

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