6月3日、ドイツ G8 対抗行動@ロストックの状況

投稿日時 2007/6/5 21:53:07 | トピック: G8ドイツ(2007年)

 WSF連絡会の大屋です。
 日本では6月4日にも「暴動」があったと報道していますが、こちらは平穏に活動しております。
 まずは6月3日の状況をお伝えします。

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 6月3日、G8サミットを控えたロストックでは、市内各所で抗議活動が行われている。

●「農業の日」
 対抗行動主催者の一角をなす「G8・グローバル農業の行動ネットワーク」は、3日を「農業の日」と位置づけた。この背景には、国際農民運動団体「ヴィア・カンペシーナ」とそれに連なるヨーロッパ各地の農民運動が、今回のG8対抗行動に参加していることがある。これらの団体は、G8の政策が、輸出産業型の商品作物栽培奨励、アグリビジネスなどの大企業の厚遇、遺伝子組み換え作物の野放し、そして飢餓をもたらしているとし、家族経営の小農家や土地なし農民の保護、食料主権、農地改革、持続可能な農業優先を訴えた。(本報告の末尾に、ロストックに向けたヴィア・カンペシーナの呼びかけ文を転載しておく。)

 とりわけ、この日は、遺伝子組み換え作物問題が焦点となった。300人近いデモ隊が、正午前後に市内を行進した後、ロストック郊外の町リューデヴィッツにある遺伝子組み換え作物研究所に向かい、抗議活動を展開した。

●市内各所での抗議行動
 またその他にも、ロストック市内でいくつかの集会と自然発生的な抗議行動が、断続的に行われた。イラク・アフガニスタンへの派兵や外国軍基地に反対する運動団体が主催した国際反戦集会には、150人近くが集まっていたが、それが終わるや集会参加者が、会場近くのマクドナルド店舗の前に、多国籍企業への抗議の意思を込めて自主的に座り込む、といった具合である。
 夕方からのロストック港広場におけるコンサート「G8に反対して動こう」には、3000-4000人近くが集まり、音楽演奏の前にグリーンピース代表がG8の地球温暖化への無策を告発していた。 

●2日のデモの評価
 ドイツのマスコミは、いっせいに昨日のデモで「暴動」がおきたといった報道を繰り返している。(日本のマスコミについても、ほぼ同様の見解が垂れ流されている。)
 しかし実際の状況は異なっている。8万人が参加したデモ・集会はきわめて平和的なものであった。会場の奥には飲食用屋台が平穏に活動していた。その背後に警察の放水車が出現することのほうが、あまりにも異様であった。こうした状況を無視した報道は、今回の対抗行動の評価を誤って伝えており、参加者は一様に疑問を感じている。
 ただし、運動側にあったとされる一部の「暴力」をきっかけに、対抗行動ネットワークに動揺があるのも事実である。たとえば、今回の行動の中核団体のひとつATTACドイツは、3日記者会見を行い、警察が平和的な参加者を含めて過剰な弾圧姿勢を示したことを指摘する一方、警察側に二人の重傷者が出たことに言及し、抗議活動参加者が身体に危害を加えることはゆるされないことと非難した(参照:http://www.attac.de/aktuell/presse/presse_ausgabe.php?id=728
)。警官であろうと、運動参加者であろうと、誰かに危害を加えることは戒めなければならない。しかし、これを受けて、ドイツの団体の一部から、今後のデモを抑制してはどうかという
意見がだされ、平和的な市民的不服従活動は継続すべきとする直接行動派と一時議論になった模様である。
 取り締まる側の当局も、これによって対抗ネットワークの分裂を引き出し、今後の対抗行動を極力縮小させたいという意図が見え隠れしている。ドイツの運動の力が試されている。 
●警察対応とそれへの抗議
 前日2日の大規模デモをうけて、ドイツ警察は各所で恣意的な検問を行っている。コンサート会場への道には機動隊が配置され、黒い服装の若者のみを止めては、荷物検査などを行っていた。
 3日までに、複数の活動家が警察の拘留されたが、ロストック地方裁判所の前には百人前後の人間が、逮捕者の不起訴を求めて座り込むなど、警察活動への抗議も市内各所で展開されている。

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(以下、ヴィア・カンペシーナのロストック行動への呼びかけ)

Wednesday, 16 May 2007
Via Campesina Call, 11 May, 2007

The heads of state and government of the world’s eight wealthiest and most powerful countries will meet from June 6-8 in Heiligendamm on the Baltic Sea in Northeastern Germany. These eight governments decide and implement neo-liberal policies that increase the number of hungry
people in the world, that bring war in most of the regions, that deepen the environmental crisis and that create social unrest worldwide. Small-scale farmers, peasant and landless workers worldwide are among the first victims of these policies. The trade liberalization and privatisation policies they impose steal our resources and our knowledges and make it increasingly difficult for us to make a living from agriculture. Their environmental irresponsibility destroys the biodiversity and the natural wealth we depend on for our livelihoods. Among the 854 millions of hungry people in the world, three-quarters are rural people. The millions of migrants who are denied their basic rights and of unemployed urban poor living in shanty towns are our brothers and sisters who have been chased away from their land.

We believe that the current agricultural crisis, that goes along with a huge environmental, social and cultural crisis, is not a fatality. Food sovereignty, agrarian reform, re-localization of the food production and
sustainable peasant-based agriculture are genuine alternatives to the neo-liberal impasse.

We will come to Rostock to demand the right for the new generation to become farmers! We will come to Rostock to say that farmers worldwide, not transnational companies, are able to feed the world! We will come to Rostock to demand Food sovereignty and Agrarian reform now!

We call farmers in Europe and worldwide, young people and all citizens, to join the mobilisations in Rostock to protest against the G8 and call for alternatives.

June 2: International protest rally
June 3: Action day on agriculture

10:00 Demonstration against GMOs, supermarkets and corporate-controlled agriculture
18:30 Youth Assembly for the Right to land and to farming, Mau Club, Rostock
June 5-7: Alternative Summit
June 6: Blockades

End Corporate control over our food!
Access to land and agriculture for the Youth !

参照:http://www.viacampesina.org/main_en/index.php?option=com_content&task=view&id=314&Itemid=1
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大屋定晴
世界社会フォーラム連絡会



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