6 月 5 日、ドイツ G8 対抗行動@ロストックの状況報告

投稿日時 2007/6/7 23:09:12 | トピック: G8ドイツ(2007年)

 G8サミット開幕前日となる5日、「軍事主義に対する行動日」の活動がロストック市内で行われ、夕方にはブッシュ大統領や安倍首相の到着するロストック郊外のラーゲ空港で抗議活動が行われた。オルタナティブ・サミットも開幕し、国連食料権特別報告者であるジョン・ツィーグラー氏が開幕記念講演で、今回のG8宣言準備草稿を、資本主義・新自由主義を促進するものとして批判、大きな喝采を受けた。

●「軍事主義に対する行動日」
 対抗運動ネットワークによって「軍事主義に対する行動日」とされた5日、市内各地で軍需産業への抗議活動が行われた(行動の呼びかけなどについては、http://www.g8andwar.de/を参照のこと)。G8各国が主導ないし放置する武力紛争(イラク、アフガニスタン、パレスチナ、チェチェンなど)を批判するために、ドイツ平和協会など反戦・平和運動が共同して、G8サミットでの行動を呼びかけたのである。


 午後一時より、ロストック郊外の町ヴァルネミュンデにある航空兵器産業EADS社の工場前で、800人規模の抗議活動が行われ、ヴァルネミュンデ駅への行進は2000人規模にまで膨れ上がった。パレスチナ・ガザ地区でのイスラエル軍の住宅破壊のために工作車を提供したとされるロストック市内の工作車両企業の前でも、500人規模での抗議活動が展開された。(以上、http://de.indymedia.org/2007/06/181371.shtmlを参照。)

●ブッシュ大統領・安倍首相の到着、ラーゲ空港での抗議
 現地の報道(http://de.indymedia.org/2007/06/181371.shtml
)と活動家の話によれば、ロストック郊外のラーゲ空港にブッシュ大統領が午後7時に到着することとなり(安倍首相もほぼ同時刻に同空港に到着したと思われる)、これに抗議する人々が午後5時ころからラーゲ空港に集まりはじめた。

 警察当局はラーゲ空港近辺での抗議活動を禁止したが、対抗行動ネットワーク側も5日朝から左派政治家などを介して当局と8時間にわたって交渉、いくつかの地点での抗議行動の許可を勝ち取った。しかし、警察はラーゲ空港周辺に検問を設け、各所で抗議団は足止めさせられた模様である。

 それでもラーゲ空港には1000人規模の人々が集まり、夜ハイリンゲンダムへと向かうブッシュ大統領のヘリコプターが飛び立つと、Persona non grata(好ましくない人物)のドイツ入りに抗議の声がいっせい沸き立った。(ラーゲ空港での行動には日本人活動家が参加しており、後日その報告があると思われる。)

●オルタナティブ・サミットの開幕、「シアトル、ジェノバ、ポルトアレグレとハイリンゲンダムはつながっている」

 午後5時、ロストック市内にあるニコライ教会では、オルタナティブ・サミットが開幕した。このサミットは、対抗行動ネットワークのなかのNGOや社会運動体が中心となり、G8の諸政
策を批判し、それへのオルタナティブを討議・提示するべく、企画された。「グローバルな公正性」、「戦略とオルタナティブ」、「環境・気候・エネルギー」、「戦争と軍事化」、「移民と人種差別」、「労働と社会」、「ジェンダー」、「教育」の八つの討議テーマを軸に、130近くの団体が登録し、100前後のワークショップ・セミナーが7日午前までに開催される予定である。

 会場には2000人近くが詰め掛け、開幕を記念して、国連食料権特別報告者であるジョン・ツィーグラー氏が基調報告を行った。「90年代以降のグローバル化のもとで、一部の経済指標は拡大を示しているのに、飢餓や貧困はまったく解決されていない」、「このことはグローバル化が、資本主義的生産の拡大を意味していることにほかならず、その結果、格差が広がっている」、「WTOやIMF・世界銀行はこの事態を世界的に促進する独裁制をしいている」、「新自由主義は、こうした事態を正当化するイデオロギーである」と発言。「この状況を変えるために運動側は、抗議行動に加え、G8の主導する世界の状況を分析し、その諸政策にたいするオルタナティブを準備しなければならない」として、オルタナティブ・サミットの意義を語った。そして、「1999年のシアトル、2001年のジェノバ、そして世界社会フォーラムの行われたポルトアレグレから、ハイリンゲンダムはつながっている」と述べ、会場から大きな喝采を受けた。

 その後、ツィーグラー氏を含めた4人のパネリストによる討論会が開催された。

●6日に向けた活動家の移動、警察の対応
 ロストック郊外のキャンプ地からは多くの人々が移動し始めている。これは、ロストックから少し離れたサミット会場であるハイリンゲンダムで、サミット初日となる翌日の抗議活動を
展開するため、その周辺のキャンプ地へと移動しているからと思われる。

 警察も、ロストック市内からはほとんど姿を消し、ハイリンゲンダムやラーゲ空港の警備に向かっているものと思われる。

 対抗行動ネットワークは6日、オルタナティブ・サミットを続けると同時に、「Block! G8」と名づけられた抗議活動にも入り、ハイリンゲンダムに至る道を封鎖する予定である。

---

大屋定晴
世界社会フォーラム連絡会



ピープルズ・プラン研究所にて更に多くのニュース記事をよむことができます
http://www.peoples-plan.org/jp

このニュース記事が掲載されているURL:
http://www.peoples-plan.org/jp/article.php?storyid=27