ピープルズ・プラン研究所も賛同団体です。
TPP に関する「国民的議論」についての要請
内閣総理大臣 野田佳彦 様
内閣官房 国家戦略担当大臣 前原 誠司 様
TPP に関する「国民的議論」についての要請
――十分な国民的議論はなされていません。改めて「国民的議論」を行ない、
その結果を正確に参加の判断に反映させてください――
2011 年11月のAPEC首脳会議にて、野田首相は「TPP参加は国民的議論を経た後に」と述べました。また2012 年1 月の衆院本会議では「地方での説明会などを通じ、政府を挙げて国民への一層の説明や情報提供に努める」とも明言しています。
その後、2012 年3 月より内閣官房はTPPに関する「国民的議論」の取り組みとして、「TPPをともに考える地域シンポジウム」(共同通信社主催・全国9ヶ所)をはじめ、都道府県別説明会(延べ25 回)、業界団体との意見交換(延べ42 回)を行なってきました。
これらの取り組みに、「合計87回、97 団体、約8800 人」が参加したといいます(内閣官房発表資料。2012年10 月24日)。
「政府と市民の意見交換会」実行委員会団体は、2012 年2 月より政府に対してTPP に関する情報公開を求める中で、「国民的議論」の一環として市民からの呼びかけによる意見交換会の実施を求め、5月に東京で、6月に大阪で実現できました。上記の政府発表の「国民的議論」の取り組みにも、東京・大阪での意見交換会の参加人数も含まれています。さらに今後、名古屋・神戸・福岡での意見交換会についても実施の方向で調整を進めています。このように各地域の市民からの要望に政府として対応していただいてきたことを歓迎しています。
しかしながら、菅直人首相(当時)がTPP参加に言及した2010年10月からは約2年、そして野田首相の「国民的議論」発言から1 年が経つ現在までで、約8800 人との間で行なわれた議論や意見交換をもって、「国民的議論」が行なわれたとは到底いえません。8800 人という数字は日本人口の約0.007%(日本人口約1億2752 万人のうち、1万4500 人に1人)にしかあたらず、しかもその多くは業界団体です。また7 月12 日の全国市議会議長会との意見交換を最後に、10 月末までの3ヶ月、意見交換の場は開かれていません。これでは「国民的議論」の定義をどのように低く見積もったとしても、ひとりひとりの市民にTPPを周知させ、判断できるに足る情報提供や議論がなされたとはいえません。
その内容の情報開示に関して、政府説明資料は掲載されていますが、各種会合においてどのような点が議論され、どのような課題が争点となったのか、市民が特に懸念を持つ点について政府がどう考えるのかは明記されていません。これでは、参加できなかった市民が議論の流れを知ることができません。
「国民的議論」の取り組みが不十分である一方で、各地の都道府県議会や市町村議会では、TPP に反対あるいは慎重の意見書の採択をしています(2010年10月から現在までの約2年間で都道府県議会99件、市町村議会2144 件でそのほとんどが「参加すべきでない」「慎重に検討すべき」という内容)。これはTPP の中身そのものに対する強い懸念であることはもちろんのこと、この間の政府からの説明や国民的議論が十分になされていないことの最たる証拠です。
2012年に入って以降、国際会議日程や首相の訪米の時期が来るたびに、「日本はTPP参加を表明するのではないか」という予測が飛び交ってきました。しかし、国民的議論がなされないままでのTPP参加の判断は、まさに野田首相の発言自体が嘘であったという証明であり、何よりも全市民に対する裏切り、民主主義の否定に他なりません。すでに農業団体や農民団体、医師会、生協、労働組合、消費者団体、市民団体なども全国の自治体同様、TPPには強い懸念を示しています。また市民の多くもTPP に反対・慎重という意見を持っているか、あるいは「TPP についてはよくわからない」という状況です。そんな中で、政府だけがTPPへの参加へ前のめりに進むことは許せません。
TPP 交渉国のいくつかでは、すでに「利害関係者」向けの説明会として市民社会と協議する場を設けています。これは各国政府が、市民社会に対する説明責任や情報公開などの必要性を認識しているからであり、そのことは国際社会における一定程度の常識でもあると私たちは考えています。日本において政府からの十分な説明や議論が市民社会に対してなされていない事実を見ると、日本政府が国際的な民主主義の基準から大きく遅れていると言わざるを得ません。
こうした問題意識をふまえて、以下を要請いたします。
1.「国民的議論」が指す内容について、その対象や、期間、周知方法、議論の持ち方や、何をもって「国民的議論」を終えたとするのか? さらに結果の情報公開の方針についてお答えください。
2.「国民的議論」で得られた結果を、いかにTPP 参加に関する政府の判断プロセスに位置づけるのかについて、お答えください。
3.TPP参加の判断にあたっては、まず私たち市民の納得のいく形での「国民的議論」を誠実に実行し、その結果をすべての市民に情報公開した上で、国会の場を含む民主的な議論を前提とすることを要請します。
4.最後に、今後も継続的に各地での市民団体への説明会や意見交換会の実施を要請します。
以上
2012年11 月9 日
【呼びかけ】
市民と政府の意見交換会 全国実行委員会(参加団体は以下の通り)
特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
特定非営利活動法人 AMネット
特定非営利活動法人 関西NGO協議会
特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)
TPPに反対する人々の運動
特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
WOW!Japan
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【送り先】市民と政府の意見交換会 全国実行委員会 要請賛同 係
アジア太平洋資料センター(PARC) 事務局長 内田聖子
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