記者会見での発言を謝罪し、
即刻NHK 会長を辞任することを、強く求めます!!
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NHK会長 籾井勝人様
記者会見での発言を謝罪し、
即刻NHK 会長を辞任することを、強く求めます!!
籾井勝人NHK新会長は1月25日の就任初日の記者会見で、「(「慰安婦」は)戦
争をしているどこの国にもあった」、韓国は「日本だけが強制連行したみたいな
ことを言っているから話がややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っている。
しかしすべて日韓条約で解決している。なぜ蒸し返されるんですか。おかしいで
しょう」と発言し、更にNHKの国際放送で、領土問題について「明確に日本の立
場を主張するのは当然。政府が右ということを左というわけにはいかない」など
と述べました。
これらの主張は「不偏不党」を原則とする公共放送の長としてあるまじき発言であり、安倍首相の歴史認識の引き写し、安倍首相の歴史観の広報をNHKが担うかのような意思表明、宣言と言うしかありません。
NHK番組改変事件でNHKらを訴えたVAWW-NETジャパンの後継団体である私たちVAWW RACは、以下の点でNHK会長としての今回の発言に強く抗議するとともに、即刻辞任を求めます。
第一に、公共放送であるNHKは放送法を遵守しなければなりません。放送法には「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」とあります。しかし、籾井氏の発言は、「不偏不党」「放送の自律」が損なわれるのではないかという視聴者のNHKに対する不信感と危機感をかき立てるものです。
2001年1月、NHKは「慰安婦」制度の責任者処罰に向き合った女性国際戦犯法廷を取り上げた番組について、当時官房副長官だった安倍晋三氏ら「慰安婦」強制を否定する「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(当時の名称)所属の議員らの圧力で番組を改ざんするという事件を引き起こしました。バウラックの前身であるVAWW-NETジャパンがNHKらを訴えた裁判の高裁判決は番組改変について、NHKの放送総局長と国会対策担当局長が安倍氏らと接触を図り、その結果、それら議員の「公平・中立であるように」という言葉の「意図を忖度して」、「そのような形にすべく本件番組について直接指示、修正を繰り返して改編が行われた」と認定しました。そのうえで、政治家の意図を忖度した編集は「(本来の)編集権を放棄したものに等しい」「憲法で保障された編集の権限を濫用し、又は逸脱したものといわざるを得ない」と判断しました。番組改変事件はまさに、視聴者・市民の知る権利が侵害された、民主主義を脅かす事件でした。
今回の籾井氏の発言は、このような放送事業者にあるまじき事態が繰り返される危険性がきわめて高いという危機感を、私たち視聴者に強烈に与えるものです。NHKの会長を務めるというのであるならば、何より過去の過ちに向き合い、高裁判決の認定と教訓、BRCの決定(2007.6)(「(NHKの放送は)公平・公正な取り扱いを欠き、放送倫理違反があったといわざるを得ない」)を真摯に想起すべきでした。新会長がこうした過去の過ちを軽視していることが今回の暴言を招いたのです。籾井氏がそれを「暴言」と思わないのなら、なおさら事態は深刻と言わざるを得ません。
第二に、日本軍「慰安婦」制度が「どこの国にもあった」と言うなら、その根拠を明確に示してください。公共放送のトップがいい加減な事実無根の認識を公にばらまくことは断じて許されることではありません。国内外から強い批判をあびた橋下徹大阪市長の「慰安婦」発言(2013年5月)をお忘れなのでしょうか。
第三に、韓国に対して「日韓条約で解決している」と言うが、「慰安婦」問題に対する日韓請求権協定の解釈をめぐって日韓両政府間で問題になっている現状から「解決済み」とは言えないのであり、このような認識を「明確に日本の立場を主張するのは当然」と考えるなら、報道を担う資格はありません。第二次戦時中に大政翼賛的に日本の民衆を誤導した「大本営発表」を繰り返すつもりなのでしょうか。そもそも安倍首相でさえ、第一次安倍内閣当時、閣議決定の答弁書で、日本政府は「河野談話」で謝罪したとの認識を明らかにしています。謝罪というのは過ちを認識して反省することです。籾井発言はその意味で政府見解に反する認識を示したことにほかなりません。それとも籾井氏は、「日本の立場」と「政府見解」は別物で、「日本の立場」は安倍首相の歴史認識だとお考えなのでしょうか?
私たちはこのような不見識かつ不認識な人物、「不偏不党」も「政治的公平」「報道は真実を曲げない」(放送法)も理解していない人物が公共放送のトップに立つことを、断じて認めることはできません。
籾井氏は誤った発言、結果として被害者を冒涜する発言を行ったことを真摯に反省・謝罪し、即刻、NHK会長を辞任するよう、強く求めます。
2014年1月28日
「戦争と女性への暴力」リサーチ・
アクションセンター(VAWW RAC)
共同代表:西野瑠美子・中原道子・金富子
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