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対象モジュール | 論説 |
件名 | アラブ世界の民衆蜂起――チュニジアからエジプトへ/福田邦夫 |
要旨 |
- Re: アラブ世界の民衆蜂起――チュニジアからエジプトへ/福田邦夫
- 投稿者: Yamanaka 投稿日時: 2011/2/25 0:46
- IMF・世界銀行および多国籍企業を中心に、ますます加速する現代グローバリゼーションの罠に見事にはまった両国の姿を知ることができました。市場創出と食糧・資源供給地獲得というお得意の手段はほぼ達成されつつあったので、この政変はまさに「想定外」であったと思います。
しかし、彼らの新自由主義的政策がこのまま推進される可能性も高いと感じます。チュニジアの友人を通して、政変に至った要因を現地から伺う限り、国民にとってはベン・アリ一族が国富を横取りしたことが一番の問題であり、福田先生がご指摘される外的要因が重要視されておりません。むしろ「構造調整政策は悪いアイデアではなかった」といい、「今後もFDIを受け入れることが発展への近道」と考える者が少なくありません。また、共産党をはじめ左派は長い間弾圧され弱体化しており、60年代後半の社会主義政策失敗という苦い経験からも国民は自由主義的政策を好む傾向があると思います。UGTT(チュニジア労働総同盟)という最大の労働組合が、今回のデモを組織し、成功に導いたとも言われておりますが、真偽のほどはわかりません。
事実関係はこれから少しずつ明らかになってくると思いますが、今は、腐敗した独裁者と官僚機構を先進工業国政府が支援してきたことによって、我々自身も気づかないうちに当該国の強権的な体制維持と支配者一族の非合法な蓄財に加担してきた事実を強く認識しています。
「ローマの穀倉」と呼ばれたその豊饒な大地の恵みの多くは地中海の北岸へ積み出され、穀倉地に住む国民には質の劣る輸入小麦で作ったパンを食べさせる。1984年から1985年にかけての大暴動も今回の政変も食糧の国際価格高騰と連動しており、穀物の国内価格を安定させるための補助金が政府によってカットされた後に起きている事を考えると、自由貿易協定と多国籍企業誘致にチュニジア再建の夢を託している人々は、自国が抱えるベン・アリ以外のリスクを今こそ考える時なのかもしれません。