〈「平成」代替りの政治を問う〉連続講座
第8回「象徴「天皇陛下」万歳の《反安倍》でいいのか?」
■問題提起 :
白川真澄
平井 玄
松井隆志
米沢 薫
司会:天野恵一
■日時:2018年11月18日(日)15時?(14時30分開場)
■場所:ピープルズ・プラン研究所会議室
■参加費:800円
■主催・連絡先:ピープルズ・プラン研究所
自民党の総裁選にも勝利した安倍晋三。彼の憲法九条(非武装平和主義条項)に、自衛隊を明記し、米軍とともに海外派兵も可能な軍隊保持を原理とする国家に戦後日本国家をつくりかえ、それを突破口に日本を、全面的に国家主義原則が貫徹した国家・社会につくりかえてしまおう。そうした安倍政権の野望に支えられた暴走は、天皇代替わりの儀式を目前に、加速されている。この間、この安倍政権のそうした軍事国家主義化の公然たる動きに抗する運動は、様々なイシューをめぐって広く多様にうみだされている。
そうした抵抗と抗議の動きの内側に、最初はひそやかに、そして、今や公然と、「平和天皇アキヒトとミチコ皇后」への政治的期待の声がうまれだしている。それは、反安倍政権の多様な運動の中に、「天皇Xデー[生前退位]」の政治への正面からの批判の声を押さえこんでしまう状況をもつくりだしているのだ。そして、「反安倍」であれば「新象徴天皇制」であるのは当然という論理が、少なからず「反安倍」言論の中に、しかしクッキリと浮上している。
例えば、自称思想家内田樹。彼は、新たな法律をつくれ、ないしは法改正をせよという内容を持った天皇の政治メッセージ(「生前退位」希望のそれ)を前に、「憲法尊重擁護義務を天皇ほど遵守されている人はいない」と公言している(『街場の天皇論』)。憲法破壊は、憲法「尊重擁護」であるというわけだ。同じメッセージを前に、「象徴天皇」は「神聖天皇」と対立すると宣言し、〈象徴〉はもはや天皇制ではないものでもあるかのごとき主張を平然と展開している宗教学者島薗進。象徴天皇制がどのような「虚妄」であるかをまったく論ぜず、「象徴天皇制の虚妄に賭けたい」とカッコをつける政治学者片山杜秀(『近代天皇制』は両社の対談新書)。
もう一人の政治学者白井聡は、天皇のメッセージは「天皇による天皇制批判」だと根拠もなく強弁して、「今上天皇への人間的共感と熱意」を力説してみせている。メッセージ以前であるが、文学者柄谷行人は、天皇は「人民主権」憲法、九条平和主義の「庇護者」となっていると、新しい「君民共治」の天皇制イデオロギーをふりまいている(『憲法の無意識』)。
このようにとてつもない心情的思い入れで、まったく思考停止してしまっているのではないかと思えるような倒錯的言論が、いたるところにふりまかれているのが現状である。
こうした情況に抗するモチーフで、PP研の季刊誌81号は「象徴『天皇陛下』万歳の《反安倍(リベラル)》でいいのか?――代替わり状況下の〈安倍政治〉と〈天皇政治〉」を特集した。
今回の講座は、この論争的特集をタタキ台にした問題提起を、雑誌編集関係者五人がし、他の筆者も含めて、参加者と討論するかたちで持つことにした。
積極的な参加を呼びかけたい。
2018/10/6 13:39:20
投稿者:事務局
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