アベノミクスが始まってから、すでに6年間が経過しました。雇用の改善・株価の上昇・企業利益の急増といった成果が吹聴されていますが、深刻な人手不足にもかかわらず賃金は伸び悩み、8割の人が「景気回復を実感できない」状態が続いています。日本経済は低成長・低金利・低インフレが常態化し、今後も急激な人口減少のなかで経済成長が期待できない時代に入っています。
こうした現実を前にして、従来の経済学の理論的枠組みでは説明できないテーマが浮かび上がってきています。例えば、異次元の金融緩和を続けたにもかかわらず、なぜ2%インフレ目標は実現できなかったのか。労働力不足なのに、なぜ賃金は上がらないのか。「低インフレ」のまま、デフレから脱却しているのではないか。巨額の財政赤字が積み上がっているにもかかわらず、なぜ財政破綻が生じていないのか。
そこから、さまざまの論争も起こってきました。最近では、MMT(現代貨幣理論)に依拠して、高いインフレが生じるまで借金を増やして財政支出を拡大し景気回復を実現して税収を増やす、といった「反緊縮」論も登場し、一定の支持を受けています。これに対して、公正な増税を実行して安定した財源を確保し、社会保障の拡充によって将来の生活不安をなくすことが必要、といった批判も行われています。
そこで、経済・財政・金融をめぐって論争になっているテーマを読み解いていく勉強会をスタートさせることにします。3カ月に1回程度のペースで、話題になっている本や論文を取り上げて、レポートと討論を行います。テーマは重要で大きいものになりますが、少人数で突っ込んだ議論をざっくばらんに行う場にしたいと思います。
参加を希望される方は、ご連絡ください。
第1回 日時:10月4日(金) 18:00?21:00
テーマ:「反緊縮」論とそれへの批判
テキスト:松尾 匡×白川真澄「激突討論:アベノミクスとどう対抗するか」(『季刊ピープルズ・プラン』85号)、高端正幸「税は何のためにあるか――『反緊縮左派』の難点をめぐって」(同)
報告:平 忠人
場所:ピープルズ・プラン研究所
(大河 慧、白川真澄、平 忠人)
2019/9/6 15:51:52
投稿者:事務局
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