私たちは持続可能な新生文明をつくる途上でどこにいるのか
PP21の3宣言(1989水俣宣言、1992ラチャダムノンの誓い、1996サガルマタ宣言)を読み直す
PP21の友人たちへ
2021年4月
私たちが今、新しい、挑戦的な、そして極端に危険な人類文明のなかで暮らしていることに、疑いの余地はありません。これはしばしば「人新世」と呼ばれていて、そこでは、新しいオルタナティブな人間・自然関係をグローバルに設計し実現する、そのために人間社会がおのれ自身を変革することが、差し迫った課題として提起されています。この普遍的目標に向かって、さまざまな理論、思想、プログラム、行動が提案され、論じられ、部分的には実行に移されています。
その中にあって、私たちは真空中で何事かを行えるわけではありません。私たちは、過去に成し遂げたことを批判的に調べ、同時に未知の世界へ飛躍するための土台として、そこに足を踏まえることが必要です。
この文脈において、アジア太平洋を基盤としつつ、グローバルな視野に立つピープルズ・プラン21世紀(PP21)の運動は、いま新しい仕方で呼び戻されなければなりません。2001年に世界社会フォーラムが開始されたことを受けて、PP21は2002年に、大規模な国際集会を組織するための機構を解体することにしました。そして、過去三回の民衆の大合流で採択された三つの宣言を貫く民衆主体のPP21の精神を支持するひとは、誰でもPP21として行動できるとしました。この精神において、私たちはまず、PP21の達成としての三つの宣言が、おのおの、また全体として、現在の新しい人類社会の必要に応えるものかどうか、またどの程度応えているか、を検証し、過去をふまえて、いかにして現在必要とされるオルタナティブを展開できるかを検討すべき時期が来ていると考えます。
私たちは、これら3宣言が以下の点において人類の現在の切実な必要に応答するものであったと考えます。
(1)グローバルな政治・経済・社会・文化にまたがる支配にたいして、グローバルな民主主義の導入を対置したこと。
(2)未来のビジョンとして越境参加民主主義 (global participatory democracy)を掲げたこと。
(3) そのような未来を実現する主体として、越境する民衆の連合(transborder alliance of people=alliance of hope)を提起したこと。
(4)希望の連合の基盤として、持続可能な生活と環境を求めていたるところで進む草の根の活動、闘争を位置付けたこと。
3宣言の別の読み方もあるでしょう。それらを含めて、わたしたちは、PP21が宣言した見通しに立ち返り、それがいま現状とかみ合うかどうか、そして人新世の現実と真にかみ合うためにどのように発展させることができるか、また、させるべきかを検討したいと思います。
そこで提案は、PP21に関わった私たちが、3宣言を今一度注意深く読み直し、それらの現在における有効性の有無を点検し、いかなる未来を新たに描くべきかを考え、それを短い文章に書きこみ、それをもってウエビナに集まり意見を交換するというものです。このプロセスの記録は、本気で変革を志すコミュニティに広くシェアされることを予定しています。
皆さまのご意見・参加をおまちしています。
武藤一羊
スリチャイ・ワンゲオ
ラオ・キンチ
ブンターン・ヴェラウオンセ
2021年4月
>水俣宣言ーー希望の連合(1989年)
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/statement/index.php?content_id=51
>ラチャダムヌンの誓い(1992年)
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/statement/index.php?content_id=52
>サガルマタ宣言 アジア太平洋の民衆の合流:私たちの未来を形づくる
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/statement/index.php?content_id=53
2021/5/22 11:57:06
投稿者:事務局
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