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憲法研究会

山口響

 11月の憲法研究会では、PP研で編集・発行しているシリーズ「改憲」異論の第五巻『住民自治・地方分権と改憲─地域社会の再編に抗して』の合評会を行った。著者である池田祥子さん、進藤兵さん、白川真澄さんも参加した。
 主な論争は、住民自治や「国・地方対等」論を主張する白川さんと、「地方自治のある緑の福祉国家」論をとなえる進藤さんとの間で起こった。白川さんは、本書でも自ら指摘しているように、中央が外交・軍事・治安などの分野、地方が福祉・公共事業などに「役割分担」していく現在の主流の議論に異を唱えて、住民自治を基本としながら、地方と国が「対等な政府間関係」に立つべきだと主張した。他方、進藤さんは、地方自治議論をたんに「上からか下からか」の視点に限るのは誤りで、資本による「横からの」入力をもっとみるべき、との基本的な見方を示して、「地方のイニシアチブ」を白川さんと同じく基調としつつも、資本を規制するために「緑のナショナル・ミニマム」を強調する必要性を語った。
 また、池田さんがずっと追ってきた教育分野について、池田さんと進藤さんとの間で激しい議論になった。池田さんは、戦後日本の教育行政では文部省(中央官僚組織)による支配がずっと続いてきたとして、中央主導の教育保障への不快感を示し、進藤さんは、それでもなお、教育基本法の存在によって教育行政(国家による教育の外的条件整備)と教育そのものの内的事項が分けられ、現場が一定の自律性を保ってきた積極面を見るべきだと主張した。
 (反)改憲論の中では住民自治論はあまり注目をされていないが、ものごとの決定を真に民主的なものにしようとすれば、国家レベルやグローバルレベルとの係わり合いも考慮に入れつつ、あらためてきちんと考えられるべき領域であると感じた。
 このところ常連参加者の都合が合わず研究会が開けていないが、次の内容が決まりしだい会員の皆さんにはお知らせします。 (やまぐち ひびき)
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