みなさま。新型コロナの感染状況がいぜんとして厳しい状況のなかで、春が足早にやってきました。第6回の経済・財政・金融を読む会を4月29日(金、休)の午後に開催しますので、案内をさせていただきます。次回は、大きな反響を呼んでいる斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』を取り上げます。
お読みになった方や講演を聞かれた方も多いと思いますが、本書では無限の経済成長を求める資本主義と有限な地球環境とは両立できず、地球温暖化問題の抜本的な解決のためには資本主義そのものを変革し、資本主義に代わるオルタナティブな社会を形成しなければならないと主張されています。脱炭素化によって新たな経済成長をめざす「グリーン・ニューディール」や「グリーン成長戦略」では、なぜ問題は解決できないのか。「コモン」を人びとの手に取り戻し自治的に管理する脱成長コミュニズムとは、どういうことか。真の豊かさを実現する「使用価値」重視やエッセンシャルワーク中心の経済とは、これまでの経済とどう根本的に違うのか。現代の危機を解き明かす上で、晩年に大きな思想的転換をとげたカール・マルクスの仕事はどこまで有効だろうか。こうした多くの興味ある論点が提起されています。
そこで、本書の主張を読み取りながら、いくつかの論点について議論を深めたいと思います。関心のある方は、ぜひご参加ください。また、会場とオンラインを併用しますので、足を運べない方もご参加ください。
第6回経済・財政・金融を読む会
日時:4月29日(金、休日) 13時30分〜16時30分
会場:ピープルズ・プラン研究所(地下鉄有楽町線「江戸川橋」下車)
*会場参加とオンライン参加の2本立てで行います。
テキスト:斎藤幸平『人新世の「資本論」』(2020年、集英社新書)
報告:宮部 彰さん
参加費:無料
参加を希望される方は、会場参加かオンライン参加かを明記した上で、以下のいずれかの連絡先までお申し込みください。
*ピープルズ・プラン研究所:ppsg@jca.apc.org
*白川:JZI03162@nifty.ne.jp
*千村:chimura@mte.biglobe.ne.jp
PP研の新しい企画が2月からスタートしました。
4月には第2回の研究会が開かれます。
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【第2回 ピープルズ・ムーブメント研究会(PM研) 】
■ 日時:4月7日(水)19:00〜21:00
■ 場所:PP研会議室とオンライン
■ テーマ:ドゥテルテ政権をどう理解するか?―民衆運動・人権問題・対中関係―
■ 報告者:原 民樹(フィリピン研究者・千葉商科大学非常勤講師・PP研運営委員)
★オンライン参加の方は4月4日(日)夜までに、PP研事務局 <ppsg@jca.apc.org>に、メールでご連絡下さい。
資料を会議の前にお送り致します。
また留守電にメッセージを残される方は、お名前だけではなく、できるだけ電話番号も入れて下さるようお願いします。
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《トップページの文字化けについてのお詫び》
現在PP研ホームページのトップページは、制作に使用しているデータベースシステムの不具合により文字化けを起こしています。ご不便をおかけし申し訳ありませんが、修正完了までいましばらくお待ちください。
なお季刊誌につきましては、右サイドバー「bookshelf」の表紙画像から目次 ページに移行できます。
みなさま
大変お待たせいたしました。
『季刊ピープルズ・プラン』90号発刊のお知らせです。
90号の詳細は以下のURLよりご確認ください。
http://www.peoples-plan.org/jp//modules/tinyd0/index.php?id=97
ピープルズ・プラン研究所事務局
みなさま
大変お待たせいたしました。
『季刊ピープルズ・プラン』89号発刊のお知らせです。
89号の詳細は以下のURLよりご確認ください。
http://www.peoples-plan.org/jp//modules/tinyd0/index.php?id=96
ピープルズ・プラン研究所事務局
みなさま
大変お待たせいたしました。
『季刊ピープルズ・プラン』88号発刊のお知らせです。
88号の詳細は以下のURLよりご確認ください。
http://www.peoples-plan.org/jp//modules/tinyd0/index.php?id=95
ピープルズ・プラン研究所事務局
白川真澄さんの新着論説「『コロナ・ショック』への経済対策 何が必要か」を掲載いたしましたのでお読みください。
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=224
みなさま
大変お待たせいたしました。
『季刊ピープルズ・プラン』87号発刊のお知らせです。
87号の詳細は以下のURLよりご確認ください。
http://www.peoples-plan.org/jp//modules/tinyd0/index.php?id=94
ピープルズ・プラン研究所事務局
白川真澄
■自公の勝利、野党の善戦
7月21日の参院選は、有権者の半数以上が棄権する惨状に終わった(投票率48.80%で、前回16年から6%近く低下)。この政治的シラケのなかで、自民党は57(改選議席から10減)、公明党は14(3増)、合わせて71議席と、改選過半数を8上回る議席を得た。自公に維新10(3増、希望1を含めると2増)を加えた改憲勢力は81で、非改選を合わせて160議席と、改憲発議に必要な3分の2(164)を割った。
野党は、立憲17(8増)、国民6(2減)、共産7(1減)、社民1(増減ゼロ)、野党系無所属9(6増)、れいわ新選組2(2増)であった。立憲は倍増だったが、国民と合わせた23議席は、前回の民進党32からは9減。ただし、野党系無所属が前回より5増なので、4減であった。野党は合計で42議席を獲得したが(12増)、前回よりは2減。逆に自公維は81(5減)で、前回より4増となった。
比例区の得票は、自民1771万票(前回より240万減)、公明654万票(103万減)、維新491万票(24万減)と減らしたが、得票率は自公がほぼ変わらず、維新が0.6%アップだった。野党は、立憲792万票、国民348万票で、合わせると前回の民進より35万の減少にとどまったが(得票率は合わせて22.8%と、1.8%アップ)、立憲は17年総選挙の比例1108万票からは316万票も減らした。共産448万票(154万減)、社民105万票(48万減)と、得票も得票率も減らしている。対照的に、れいわは、投票者総数が642万も減るなかで、228万票、得票率4.6%を獲得した。
第1に、自民党は高い内閣支持率に支えられて、議席と得票数の減少を最小限にとどめ、大都市で低投票率もあって強さを保った公明党と組んで、政権の安定的維持に成功した。
第2に、改憲3分の2をめぐる攻防では、改憲勢力の狙いを阻むことができた。ただし、その差はわずか4議席で、補選や寝返りによって失われる可能性がある。3分の2に近接したのには、維新が大阪・兵庫に次いで東京と神奈川で進出したことが大きい。大都市を中心に新自由主義(「身を切る改革」)に共鳴する強固な層の存在を見せつけた。
第3に、改憲勢力による3分の2獲得を食い止めた意義は大きい。安倍は国民の切り崩しを公言し、改憲への野望をぎらつかせているが、改憲発議へのハードルはとりあえず高くなった。野党は、野党統一候補を擁立した1人区では10勝22敗(前回は11勝21敗、13年は2勝29敗)と、自民党の集中攻撃をはね返して善戦した。勝利したほとんどの1人区が僅差の勝利だった激戦ぶりが物語るように、野党共闘の力は引き続き発揮された。
第4に、女性は28名が当選し、参院では56名と過去最多となった。
■なぜ、安倍政権を追いこめなかったのか
にもかかわらず、私たちは、安倍政権に国政選挙での6連勝を許してしまった。欧米諸国の政治的変動と対称的に、例外的に異常な政治的安定が続く結果に終わった。40%前後の内閣支持率が40%前後で落ちないように、多数派の人びとの政治への期待は、「変化」(34%)よりも「安定」(60%)が上回っている(朝日7月3日)。つまり、現状がこれ以上悪くならないことを望んでいる。
しかし、参院選の前には、安倍政権を脅かしかねない材料があった。1つは、消費税の10%への引き上げである。これへの反対(52%)は、賛成(42%)を上回っていた(朝日7月15日)。消費増税を公約した政権は、過去いずれも敗北し退陣に追い込まれた。もう1つは、年金だけでは生活できず「老後2000万円が必要」という問題の浮上である。これについても、「老後の不安に対する安倍政権の取り組み」を評価しない人がずっと多かった(62%、評価するは22%、同)。
野党は、立憲主義といったテーマではなく、生活の場から政権を批判する論戦を仕掛け、消費増税の中止、安心できる年金制度(マクロ経済スライドの廃止や最低保障年金など)を訴えた。この争点設定は間違いではなかったが、野党の主張は、不安を抱える多くの人びとの気持ちを動かすことができなかった。
社会保障の財源として消費増税はやむなしと考える人が少なくない、逆に年金制度を信頼できず「自助」に頼るしかないと思う人が多い(62%、日経7月1日)といったことも、その要因である。しかし、野党の最大の弱点は、当面の短期的な政策をめぐる議論、例えば消費増税は消費を冷やし景気を悪くするといったレベルに終始したことにある。人口減少と低成長が避けられない時代にふさわしい長期的な社会ビジョンを大胆に打ちだせない。いいかえると、経済成長にすべてを託し「我が亡き後に洪水は来たれ」というアベノミクスの根本的な弱点に切りこめていないのだ。
■左派ポピュリズムの登場
旋風を巻き起こしたのは、れいわであった。消費税は廃止、奨学金はチャラといった主張のシンプルさ、生産性優先と自己責任の社会の拒否の訴えの迫力もあったが、何よりもその政治スタイルが斬新で既成政党のそれを見事に打ち破った。ALS患者や重度障害者の候補を特定枠に推す、山本太郎が広場で聴衆に対話を呼びかける、SNSを駆使する、4億円の寄付を集める。れいわは、これまで政治に縁遠かった人びと、とくに野党に失望していた人びとの心を掴んだ。20?40代の無党派の1割以上の支持を集め、初挑戦で得票率4.6%、得票228万票と大躍進した。
もちろん、消費税を廃止すれば個人消費が喚起され景気が回復して税収も増える、その間は国債発行に頼るという政策主張は、ズブズブの経済成長主義であり、目先のことしか想定していない。
れいわは、こうした政策の粗悪さも含めて、日本における左派ポピュリズムの登場を告げた。それは、政治を動かせるという希望を少なくない人びとに与えた。この流れが次の総選挙でどこまで大きくなるかの予測は難しい。しかし、野党も私たちも、この左派ポピュリズムにどう向き合うかが、問われる。
白川真澄(PP研)[2019年7月23日記、「反改憲通信」2019年7月31日、一部修正]
以下掲載しました
消費増税対策と軍拡で100兆円突破
――19年度政府予算のオモテとウラ
白川真澄
■消費増税対策がてんこ盛り
総額100兆円を超える19年度政府予算が成立した。この予算の眼目は、一〇月に予定される消費税率の10%への引き上げとそれへの対策である。
安倍政権は消費増税による経済への悪影響を極度に恐れて、景気の落ち込みを防ぐ(「経済への影響の平準化」)ための対策をなりふり構わず盛り込んだ。減税措置としては自動車税の初めての減税、住宅ローン減税の期間延長、子や孫への教育資金贈与に対する非課税措置の2年間延長。家計への負担軽減措置としては軽減税率の導入、幼児教育の無償化や年金生活者支援給付金、未婚のひとり親への特別給付、キャッシュレス決済でのポイント還元とプレミアム商品券などが並ぶ。さらに景気対策の柱として「防災・減災・国土強靭化」の名目での公共事業への支出が大判振る舞いされている。
消費税率10%への引き上げで5・7兆円の負担増となり、経済へのマイナス作用が予想される。そこで、軽減税率の導入による1・1兆円の負担軽減に加えて幼児教育の無償化などによる受益増で、実質的な負担増を2兆円に抑える。そしてポイント還元やプレミアム商品券、公共事業、自動車や住宅購入の減税など2・3兆円の経済対策によって負担増を十分に相殺できると目論んでいる。
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