トップ (メニュー)  >  声明  >  橋下市長の破廉恥な暴言に断固抗議します/VAWW RAC(バウラック)、アジア女性資料センター、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館(wam)」
以下の抗議文を「アジア女性資料センター」サイトより転載します。
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=792

橋下市長の破廉恥な暴言に断固抗議します

大阪市長・日本維新の会共同代表 橋下徹様

「慰安婦制度は必要だった」発言の撤回を求めます!!

橋下徹大阪市長は5月13日、記者団を前に、「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」と述べました。

慰安所制度がどれほどアジアの女性たちを人間扱いしなかった重大な人権侵害制度であり、犯罪であったかを考えもせず、戦争遂行のために必要だったとするのは、あまりに厚顔無恥で人権無視の考え方です。このような歪んだ見識は被害女性を更に傷つけるもので、私たちは到底許すことはできません。

私たちは、橋下市長が即刻、被害女性に謝罪し、発言を撤回すること、更に、ご自身の歪んだ見識を正すよう努力することを、強く求めます。

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橋下市長はこれまでも、「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」と、強制性を否定してきましたが、「慰安婦」制度が日本人女性に限らず、植民地支配下朝鮮や台湾、そして、侵略地・占領地の女性たちを詐欺や甘言、誘拐・拉致、脅迫などで慰安所に送り込み、人間としての尊厳を奪い、自由の拘束の下で暴力的・権力的に女性たちに「慰安婦」を強いたのは、すでに多くの史料や証言からも明らかであり、慰安所制度が当時の刑法や国際醜業条約等に違反する犯罪であったことは、隠しようもない事実です。

何よりも、「慰安婦」を強いられた女性たちが心身に抱えた傷は精神科医も息をのむほど深刻なもので、女性たちが受けた被害に対して、慰安所の設置、管理・監督、「慰安婦」徴集の指示等、指揮・命令に深く関わった日本軍の責任について現日本政府が原状回復責任を負うことは、もはや国際的な見識となっています。にもかかわらず、橋下市長の「慰安所制度は必要だった」という発言は慰安所制度を高く評価するもので、国際社会の人権感覚に大きく離反するばかりか、その根底にある凄まじい女性蔑視と歪んだ性意識は、再び被害者の心を傷つけるものです。

また、沖縄の米軍普天間基地を視察した際、米軍司令官に風俗業の活用を進めたと誇らしげに言い、「司令官は凍り付いたように苦笑し、『(隊員には)禁止だと言っている』と言ったことに対して、「風俗業は法律の範囲で認められており(性的)エネルギ―は法律の範囲で認められており(性的)エネルギーをどこかで発散することは考えないといけない」と述べていますが、これは橋下市長の性意識そのものであり、まさに「慰安所制度」を立案・推進した日本軍の発想と同じです。

 橋下市長は2003年にも、あるテレビ番組で同様の発言をしています。日本の企業が中国広東省珠海市で集団買春を行った事件について橋下氏は、買春は「女性の自由意志」「ODAだ。日本の観光客が中国でお金を落としている。まさに経済貢献だ」とコメントしました。翌週には「反省」と「けじめ」をつけて降板されましたが、一体何の「反省」であり「けじめ」だったのでしょうか? 橋下市長のアジア蔑視、女性蔑視、人権排除の性意識は当時と変わらないどころか、むしろ膨れ上がっているとさえ思われます。20数年も「慰安婦」問題が提起されてきたにも関わらず・・・。

また、橋下市長は「慰安婦制度は世界各国の軍が活用した。朝鮮戦争やベトナム戦争でもあった」「当時の歴史を調べたら、日本国軍だけでなくいろんな軍で(慰安婦を)活用していた」のに、「なぜ日本の慰安婦だけが世界的に取り上げられるのか」「韓国とかの宣伝の効果でレイプ国家というふうに見られてしまっているのが一番問題だ」と不満を述べていますが、国家の正式な組織である日本軍が、自国・他国の女性たちを強制的に「慰安婦」にし、10数年に渡って遂行したのは、ドイツに似たケースがあるにせよ、他国に例を見ないものです。また、慰安所での強制的な状況を見れば、女性たちが受けた行為は性暴力そのものであり、それに目を背けること自体が問題です。また、みんながやっているのになぜ自分だけ問われるのかといった、犯罪が追及されるのは不公平と言わんばかりの感覚は、もはや法律家としての見識すら疑うものです。
 
橋下市長は「侵略戦争」という歴史認識にも反発していますが、過去の過ちを認め、被害を与えた人々に心から謝罪し、二度と同じことを繰り返さない決意を未来に推し進めることがどれほどアジアの平和と安定に寄与し、「国益」論に適うものであるか、今一度、考えてください。それが「国の誇り」であり、恒久平和の模索の一歩ではないでしょうか。
 
最後に、私たちは要求します。
上記の数々の発言の撤回並びに、被害者と沖縄に謝罪すること、また、このような人権無視、事実認識の欠如した発言の責任を取って大阪市長を辞任することを、強く要求します。

2013年5月15日

・「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)
  共同代表 西野瑠美子・中原道子・金富子
     E-mail: vawwrac@vawwrac.org http://vawwrac.org/
       TEL/FAX 03-3818-5903

・アジア女性資料センター
     E-mail: ajwrc@ajwrc.org   http://www.ajwrc.org/               
       Tel: 03-3780-5245/ Fax: 03-3463-9752

・アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館(wam)」
     E-mail: wam@wam-peace.org URL:http://www.wam-peace.org/
       t 03-3202-4633 f 03-3202-4634
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